伝統芸能
分野別カテゴリー: まちづくり 教育
レポート:世代を超えたコミュニティ〜 帯迫棒踊り保存会〜
帯迫棒踊り保存会への取材を通して
このたび、鹿児島市の帯迫公民館で月に1回行われている、帯迫棒踊り保存会の練習を取材しました。
今回は、2〜3年前に発足した女子部のメンバーにスポットをあて、その活動や思いを中心にご紹介します。
あわせて、地域の伝統を支えてくださっている方々の姿にも触れながら、笑顔で語ってくれた彼女たちの声を、写真とともにお届けします。
どうぞご覧ください。
帯迫棒踊りとは
帯迫棒踊りとは150年以上前にはじまり
終戦後昭和23年、当時の青年団の方々を中心に復活され伝統行事となり、棒踊り保存会として現在に至っております。
棒踊りは五穀豊穣、家内安全を祈願し、三尺棒、六尺棒、鎌踊りの順に踊ります。
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女子部のはじまりと現状
女子部はおよそ2〜3年前に発足しました。
「これまでは男子だけの棒踊りでしたが、今回初めて小中学の女の子たちが加わり
男女問わず棒踊りができることは保存会としてよろこばしいことです。」
と会長の本村さんが思いを語ってくださいました。
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写真左:帯迫棒踊り保存会会長・本村さん 写真右:帯迫棒踊り保存会の方々 練習を見守っています。
女の子たちのストーリー
今回インタビューした3人の女の子たちは、友だち同士で女子部に参加しています。
きっかけは、1人の子が保護者に勧められて入会し、同じバレーボールチームの友達2人を誘ったことでした。
ここからは、女子部に参加している3人の女の子たちにお話を聞いた様子をお届けします。
稽古で楽しいと感じるのは…
・仲良しの友だちとペアで踊るとき
・新しい踊りを覚えるとき
・動きや音がぴったり揃ったとき
つらいと感じるのは…
・「棒の木が手にささると痛い!」というリアルな声も
活動してよかったこと…
・社会科の授業で習った内容に、棒踊りが出てきて「これ知ってる!」と嬉しくなった
これからも続けたいか…
・「中学生になったら、部活が忙しくて続けられないかも」 という本音も。
ただ、それでも今この時期に経験していることが、彼女たちの中にしっかりと根付いていることは間違いありません。
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写真左:真剣に棒踊りに取り組む様子 写真右:うれしそうに話す笑顔が印象的だった、インタビューの様子
次の世代へ
女子部のメンバーとともに、男の子2人も練習に参加していました。
先輩たちの動きを真剣に見つめながら、一生懸命に棒を持つ姿が印象的でした。
地域の伝統を、年齢や性別を超えて多くの子どもたちが受け継ごうとしていることに、大きな希望を感じます。
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先輩の動きをまねしながら、一歩ずつ覚えていく男の子たち 練習のあとは、自然と笑顔に
練習後のお楽しみ
練習が終わると、子どもたちはお待ちかねの“お楽しみタイム”へ。
「お菓子とジュースがもらえるのが楽しみ!」と笑顔いっぱいに話してくれました。
仲間たちと頑張ったあとにみんなで分け合う時間もまた、棒踊りの大切な思い出の一つです。
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がんばったごほうびは、やっぱり嬉しい!「お楽しみタイム」はみんなの楽しみ
棒踊りを彩る人たち
女子部の3人は浴衣姿で踊ります。その浴衣は、メンバーの一人・池田さんのお母様が、それぞれに合ったものを選んで用意されています。
さらに池田さんのお父様は、かつて帯迫棒踊りの演者として活動しており、親子で伝統をつないでいる姿が印象的です。
また、踊りの際に履くわらじは、地域の岡留さんが手作りしています。
足元から支え、棒踊りの魅力を支える大切な存在です。
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左:衣装担当 池田さん 右:わらじ職人 岡留さん
おわりに
地域の伝統を守るということは、大変なことでもありますが、こうして笑顔で楽しむ子どもたちの姿に、大きな希望を感じました。
踊りを通して生まれるつながりが、これからも世代を越えて続いていくことを願っています。