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KCIC Art Management Lab 2016 image

Session 6 Policy x ART

これからのアートマネジメント
〜2020年、その先に向けて〜

テーマ:政策×アート

ゲスト:

大澤 寅雄 (ニッセイ基礎研究所芸術文化プロジェクト室)

1970年生まれ。株式会社 ニッセイ基礎研究所芸術文化プロジェクト室准主任研究員、九州大学ソーシャルアートラボ・アドバイザー、NPO法人STスポット横浜監事。慶應義塾大学卒業後、劇場コンサルタントとして公共ホール・劇場の管理運営計画や開館準備業務に携わる。2003年文化庁新進芸術家海外留学制度により、アメリカ・シアトル近郊で劇場運営の研修を行う。帰国後、NPO法人STスポット横浜の理事および事務局長、東京大学文化資源学公開講座「市民社会再生」運営委員を経て現職。


2016年12月2日(金) 18:30〜20:30 参加者:22名

民間の立場から政策提言や政策課題の論点などを提供する政策研究機関 ニッセイ基礎研究所の芸術文化プロジェクト室で国内の文化活動を視察・研究する大澤氏。昨年のKCICアートマネジメントラボで国や自治体、民間の文化政策・活動の流れをお話しいただいた大澤氏に、今回は2020年のオリンピックに向けて動いている世の中に対して、大きな節目となる2020年の“その後まで”のビジョンを考える必要性について伺います。


アートは「目的」なのか「手段」なのか。
「どっちもあり」だと思います。

アートは金儲けの手段なのかよ?と考えちゃう時があるんですね。まちづくりの手段なのか?金儲けの手段なのか?と。嫌になっちゃうと思います。これはテコの絵(図1)です。

Session photo 1

ここにアートがあって、社会というのがあって、よっこいしょとアートをテコにして、社会を動かすと思うんですけど、「いや、待てよ。社会というものをテコにして、アートの新しいものを生み出していこう」っていう考え方もあるんじゃないの?」そこをぼくは大事にしたいと思います。つまり、目的とか手段とか、ついつい、こういう議論に陥るんですけれども、僕としては最終的に「アートは目的なのか手段なのか」ということに対しては「どっちもあり」だと思います。こういうところに僕は落ち着きました。

Session photo 2

もっと落ち着かせるために生態系としてイメージしたいというのが、私の考え方で、藤 浩志さんという鹿児島が産んだ世界に誇る日本の美術家がいるんですけれども、ご存知でしょうか?十和田市現代美術館の館長をされた後、秋田公立美術大学の先生をおやりになっています。僕の住んでいるところからチャリンコで15分くらいのところにご自宅があるんですが、なかなか会えない。忙しい方です。その藤さんがこんな絵(図2)を描いてくれたんですね。

Session photo 3

芸術活動するにあたって、なんかモヤモヤする種があって、そこから芽が出て行く。その芽を発芽させて、最後に作品というかたちになり表現が生まれる。その時に、藤さんは作家として、創造性という作家活動する時にモヤモヤとした種から何かが得られる感じなんだなということを言いたくて、それを支えるにはまず土が必要だったり、水が必要だったり、光が必要だったり、風が必要ですよっていうことをおっしゃっているんですね。水というのが藤さんの中では大事で、面白いと思っている人、思ってくれる人が、ここでは水の役割。なんかモヤモヤっとして、こんなことできないかなぁと思った時に、「それ面白いね!」っていう人が水の役割。そうすると、水をどんどんやることで、芽が出てくるんじゃないか。

Session photo 4

僕は本当に藤さんの考え方が大好きで、そこからどんどん変換していったんですけれども、僕のなかで生態系っていうのを地域に置き換えたんですね。生態系のなかには、植物っていう生産者っていう役割があります。それを消費する虫とか動物とかは消費者。さらにそれが土に還って、バクテリアとか菌が分解していく分解者っていう要素になります。要はですね、この生態系の世の中は、生産する木や草があって、それをまず牛が食べたりする。それを食べる小さな動物や虫なんかがいて。それを食べる動物がいたりして、みんな死んだり、うんこをしたりすると、土のなかで分解してくれる存在がバクテリアとか。それを分解してくれることで草が育つ。また、芽がでる。こういう生態系がある。これって文化もそうなんじゃないかって思ったんです。文化に変えると施策、施設があって、そこで事業をやる人たち、利用する人たちがいる。観客と参加者がいて、その人たちの営みは、地域づくりや教育や福祉といったところにも応用されて、やがては市民の人たちが豊かになった地域や豊かになった教育環境を使うことで、その恩恵を受ける。その市民たちが、このまちに住んでよかったなぁと思えたのであれば、文化施策や文化施設の存在を支援したり理解する。っていう循環が生まれるといいな。大概、このへんの文化施策や文化施設、事業者、利用者が当事者となる。まだこの辺で(観客、利用者)で止まっちゃうんですね。「何人お客さんとか」「何人参加してくれた」「よかった」「駄目だった」とか。その先があるんですね。

Session photo 5

「まちにとってどうだったんだろう」とか「市民にとってどうだったんだろう」。そこまでいって、市民の人たちが「やっぱり鹿児島の文化って面白いね」とか「市民会館とか美術館とかいいことやってるな」と思えるようになって、ようやく一気に循環が始まる。その循環が非常に大事だと思っています。

セッション 参加者の声

  • ・アートマネジメントの考え方、とても素晴らしいと思います。シリーズ続けて欲しいです。全県レベルでの取組みが可能となるよう組織も大きくなって欲しいです。
  • ・どんなことができるんだろうと、何もわからないままきましたが、いろんなことが聞けてとても勉強になりました。楽しかったです。ありがとうございました。
  • ・様々な事例も紹介していただき、視野が広がった。なかなか聞けない話を多く聞けたので、またやってほしい。
  • ・とてもわかりやすくてよかったです。

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