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Session 3 Business x ART

創造経済への転換

テーマ:企業×アート

ゲスト:

加藤 種男 (公益社団法人企業メセナ協議会 専務理事)

地場企業、自治体による地域創造の応援団として、おおさか創造千島財団理事、沖縄県文化振興会、八戸市「はっち」、「さいたまトリエンナーレ2016」、新潟市「水と土の芸術祭」などのアドバイザーなどを務める。1990年~2013年、アサヒビールの企業メセナ活動を中心に社会創造を担当。2012年から現職。また、2004年~2010年、横浜市芸術文化振興財団専務理事、大仏次郎記念館館長、YCC館長などを歴任し、「文化芸術創造都市横浜」を推進。そのほかの主な現職として、アートNPOリンク理事、埼玉県芸術文化財団評議員、アーツカウンシル東京カウンシル・ボード議長など。2008年芸術選奨文部科学大臣賞受賞。 ※プロフィールは2016年度現在のもの


2016年9月6日(火) 18:30〜20:30 参加者:26名

アサヒビール株式会社(現 アサヒグループホールディングス株式会社)の文化財団にて、長年にわたり企業の立場で国内の各地で文化振興の支援とアドバイスを行ってきた加藤氏。丁寧に地域を訪れ、人々と触れ合いながらその取組みを支援している多くの事例をもとに、企業の立場で地域社会を創造的に変える“経済とアートによる地域の連携”についてうかがいます。「創造経済」というキーワードを軸に「芸術に何ができるのか?」や「企業の文化投資」、「地域の財産」に関する話を、事例とともにお聞きすることができました。


芸術文化を暮らしの中に取り戻す。

芸術文化っていうのは何かっていうと、非功利性つまり、それ自体何の役にも立たない。これが大事なんです。それから非効率性。手間暇がかかる。一個一個手作りしてある。この大量生産大量消費型の時代に一個一個手で作る。なんと馬鹿なことをと思われるかもだけど、だからこそ世界の見方を変えることができる。(中略)今まで文化は、どうも自分の生活とは無縁なもの、なるべく遠くにあるものを文化あるいは芸術と呼ぶように、近年なってきてしまったわけです。なんかちょっと気取っているもの。洗練された別のもの。というものになった。パリコレもそういう要素が多少あるからだんだん庶民に見向きもされなくなって、東京ガールズコレクションの方に視点が移っていくようになる。理由はなにか?きゃりーぱみゅぱみゅ?みたいなものがなぜ受けるか?生活のなかに再びファッションが生きてくる可能性があるわけです。自分たちの生き方、現に自分の生活、生きてる暮らしの中にファッションをもう一度取り戻したい。それは芸術文化も一緒で「取り戻したい」というのが我々のビジョンな訳です。

Session photo 1

(中略)先ほど申しました芸術文化を暮らしの中に取り戻すということを我々はやりたい。お祭り型の文化を再興したい。お祭りっていうものは本来見物人はいないものです。なぜならば、だいたい同じ日に同じ地区で祭りってあるんですよ。なので、隣の祭りなんて見る暇なんてないんですよ。みんな自分のところの面白い祭りがあるんです。祭りは自分のところの祭りが一番だと思っているので、人の祭りなんて見に行かない。ところが、都市化して、過疎化して、祭りの継続が難しくなったり、コミュニティがないから祭りになかなか参加できないため、だいたい祭りを見物している。あんなもの見物するよりやった方が絶対に面白いに決まっているというのが、祭り型の文化というものを考えたいよ思っている。つまり、作り手と受け手が流動化している。全員で作って全員で楽しむことを祭りというと。

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でも、ひとり、見物人が想定されていました。お祭りは見物人がいるんです。ほんとうは。誰か?それは、神様ですね。神様に見てもらうために祭りというものをやる。大きな災害があった時には、鎮魂やら「もう2度とこういう災害を起こさないでください」といって、お祭りをして、お祈りをする。豊作のあとは感謝をする。あるいは来年もまたよろしくという予祝行事だったわけです。見物人ひとり、作り手全員という構造が祭りの構造。これは近年の芸術の構造とは逆だということがよく分かります。というのは、近年はだれか偉い作り手がいて、その人のつくった作品を大勢がお祈りするように見せる。この構造を私は転換したい。もう一回、祭り型に変えたいと思っています。そうすることによって、下請け企業、下請け町村から脱却して、自社ブランドやわがまちブランドの形成をしていくことができるんじゃないか。それで、ブランド化戦略は、ともかくブランド化せにゃいかんのです。マーケティング戦略もする必要がある。その時、地域の企業、あるいは地域が間違えるのは、近所で一番をやりたいというところです。あるいは東京に売り込もうというのも間違いなんです。というよりは、世界に売ろうよという方法をとりたいっていうのが、今日の提案したいことのひとつです。地域から世界に売り出すということをやって、同心円的にやるのではなく、いきなり世界に売り出す。地元の人が知らないとかどうでもいい。世界が知ってくれればいい。という戦略を考えたほうがいいんじゃないか。

Session photo 3

セッション 参加者の声

  • ・アートはどんな分野ともうまく絡むなぁ...と実感しました。経済は初めての分野でしたがとても面白かったです。
  • ・様々な事例を教えて下さり、非常に興味深かったです。
  • ・鹿児島の今後についてピリッとした課題を示唆していただき、その通りだなーと思いました。色々なアイデアなども刺激されて聞いててとても楽しかったです。
  • ・生活に文化を取り戻す?企業の視点で言葉を置き換えると参考になることがたくさんありました。
  • ・アートを体験する上では、気にならないけど、とても大切な部分である経済という部分を様々な事例を通して知れたのはとてもよかったと思います。

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