Skip to the main content

Top image

KCIC Art Management Lab 2016 image

Session 2 Tourism x ART

湯あがりトーク・ビジョン2030
〜アートは観光にとっておいしい蜜?〜

テーマ:観光×アート

ゲスト:

山出 淳也 (NPO法人BEPPU PROJECT代表理事/アーティスト)

1970年大分生まれ。アーティストとして、台北ビエンナーレ(2000〜01年)のほか、東京都現代美術館(2000〜01年)、Palais de Tokyo(パリ、2002年)での展覧会など多数参加。帰国後、地域や多様な団体との連携による国際展開催を目指して、2005年にBEPPU PROJECTを立ち上げ現在にいたる。別府現代芸術フェスティバル 「混浴温泉世界」 総合プロデューサー(2009年、2012年、2015年)、国東半島芸術祭 総合ディレクター(2014年)、おおいたトイレンナーレ 総合ディレクター(2015年)、平成20年度 芸術選奨文部科学大臣新人賞受賞(芸術振興部門)、文化庁第14期文化政策部会 文化審議会委員
http://www.beppuproject.com/


日時:2016年8月6日(土) 14:00〜16:00 参加者:39名

大分県別府市の温泉街を舞台に国際芸術祭を実現し、その後、広く地域の魅力を伝える「旅手帖beppu」の発行や、地元でものづくりに励む人々の作り出す商品を各地に売り出す「Oita Made」の取組みなど、多角的にまちの魅力発信に取り組むBEPPPU PROJECT。その代表理事の山出氏を迎えて、地域への誘客とアートの取組みをどのように展開することができるのかを考えます。昨年で一区切りつけた国際芸術祭「混浴温泉世界」や今年度から始めた「in BEPPU」などの話から、アートプロジェクトを通して、街や市民が変わっていく様子をお聞きすることができました。


アートは地域の課題を解決しない。
問題「提起」を行う。

今日は、「アートにどのような力があり、現代社会において芸術文化がどうあるべきか」※1とあります。「アートにどのような力があるか」というのは、よくわかりませんが、BEPPU PROJECTとしてアートってこういうものかなぁと僕がよくスタッフとする話をお伝えします。アートってすごい技術を使って、色々な作品を作っていくことだと、僕らは認識することが多いかもしれないけれど、それはつまりどういうことなのかと考えた時に、よく話すことです。

Session photo 1

アートってね、10個あったら10通りすべて違ったりするわけですよ。誰かの真似をしたりすると怒られたりしますね。その時にアーティストが考えることは何かっていうと、今まで美しいと思っていたことについて、異なった見方とか美しさがあるのではないか、ということを見出したり、今まで考えられていたことは果たして正しいんだろうか?という疑問を持ち、極めて特徴的な見方や考え方で切り込んで行くことだと思うんです。つまり、我々にとっては、自由なものの見方や考え方を促す、ある種の気づきを与える触媒ではないかなぁと感じています。このアートっていうものは厄介なことに、地域の課題を解決してくれるわけではないんですよ。むしろ、問題を起こします。なぜかというと、私たちの物の見方や、街の捉え方に対して、「果たしてそうなんだろうか?」と疑問を投げかけ、その本質を見ようとするからなんだと思います。

今まで当たり前だと思っていたシステムなどが、別の視点で見ると全然違う可能性があるのではないかと気づいていくことにつながるので、彼らは問題提起を行っていくんだと思います。これがアーティストからなくなったらダメだと僕は思っていて、毎回行政とかと話をする時に、こういうことが起こりますと最初に言うようにしています。先ほど、創造都市という言葉がありましたが、アートというものは今までにないものの見方や考え方を促していきます。それは、今までにない価値を生み出して行くことでもあると思っています。なので、経済活動や、都市や地域の暮らしにおいて、他とは違う鹿児島でのあり方とか、鹿児島での価値とか、そういうことを考えていくことに繋がるだろうと思います。

Session photo 2

最後に、これはとても言いたいことなんですけど、10作品があれば10通り考え方があると先ほど言いました。それって多様な価値が同時に共存するということです。全然違う考え方やものの見方が同時にあるということは、つまり違いを認め合うということだと思います。これこそ僕は人生を豊かにすることだと思うし、例えば、子供達がみんなと違う考え方をしているとか、全然違う絵を描いていると、「お前変わっているな」と言われて「じゃあ、自分は普通の絵を描かないといけない」と思う世の中であって欲しくないんですよ。「おまえ、それが紫に見えたの?すげえな」と言われないと楽しくないじゃないですか?そこに人間のクリエイティビティがあると思うし、クリエイティビティはアーティストにあるわけではなくて、人間の能力の一部です。物事を自由に考えたり見たりすることって、みんなにできることなんですよね。それが産業分野であればイノベーションだし、アート分野で言えば極めて美しい作品、素晴らしい作品だと言われるんだろうなぁと思っています。

Session photo 3

※1 今回のKCICアートマネジメントラボにおけるアートマネジメントのポイントのひとつ。

セッション 参加者の声

  • ・アートをする側としては経験があったのですが、マネジメントについてはまるで考えたことがなかったので、大変勉強になりました。膨大なプロセス、視点があってどこから何を考えたらよいのかと途方に暮れる思いもあるのですが、自分の中で引っかかったことから1つずつやっていこうと思います。ありがとうございました。
  • ・とてもわかりやすく、奥深い話をおききできました。大きな事もはじまりは小さな一歩というのが印象的でした。
  • ・観光×アート、鹿児島でもしましょう!
  • ・山出さんのお話に引き込まれ、あっという間でした。多様な価値が存在することが人生を豊かにしていく!!というお話に感動しました。
  • ・前回の山出さんのお話のその後のお話を聞けてよかったです。単発な企画が多いなかで、ひとつのアートプロジェクトの前後の話と2015と2016が聞けてありがたかったです。

セッションテーマ

ゲスト